パート 求人のこんな運用
労働契約を締結する際には、労働者が提供する労働に対し、確定した賃金額が合意されることが原則となります。
つまり、「時給」と呼ばれる時間単位に対する賃金額、「日給」と呼ばれる一日の所定労働時間の労働に対する賃金額、そして「月給」と呼ばれる月の所定労働日数の労働に対する賃金額のように、その労働をすればいくらの金額が支給されるかが明確に合意されている必要があります。
そして、使用者は、労働者を雇用していれば、業績の変動に関係なくこの金額の支払義務を履行しなければなりません。
仕事がないからといって労働者を休ませても、民法第五三六条第一項の危険負担の法理により、一○○%の賃金を支払わなければなりませんし、労働者の同意を得ても六○%以上の休業手当を支払う義務があります。
そこで使用者は、経営施策の一つとして、労働者に対する支払義務を強制されるこの本来的な賃金を一定額に抑え、会社の業績の変動に応じてその支給の有無、支給金額を決定することができる「賞与」と呼ばれる金銭の支払方法を採用しているのです。
動に十分対応することができないため、通常予測される業務量に対して必要な労働者の数(要員)をあらかじめ少なく雇用する方法をとっています。
つまり、通常予測される業務量に必要な要員が一○人とすれば、七人や八人というように要員を低く設定しておくわけです。
そして、人員の不足分については、正社員の時間外労働、休日労働で補い、それでも不足する場合は、雇用の調整弁と呼ばれる常用的臨時工を雇用するか、下請け企業へ業務発注するなどの方法で対処します。
逆に不況などで業務が減少すると、時間外労働を減らしたり、契約を解消するなどの方法で柔軟に対応できるシステムをとっているわけです。
この変動システムにより、通常の会社経営状況のときから正社員の時間外労働が恒常的になり、その対価であるいわゆる残業代が生計費に組承込まれることになっているわけです。
そのため、時間外労働がなくなると、労働者の生活は苦しくなります。
労働者の生活が苦しくなると、個人消費が落ち込奏それにともなって景気も沈滞し、日本企業の多くは海外に製品の輸出を進めるために、日本国内が不景気であるにもかかわらず、貿易収支だけ黒字という現象を引き起こす一因にもなっています。
このように、労働契約においては、所定労働時間に対する労務提供が合意されるわけですが、時間外労働が長期雇用システム下の日本企業にとっては必要不可欠な制度であるところから、使用者は当該労働契約締結時に、「業務上の必要性があるときは時間外労働を命じることがある」などの就業規則の規定を明示して労働者の同意(包括的同意)をとり、日常の労務提供の場で時間外労働を命令するのが一般的な形態となっています。
また、判例は、当該労働契約締結時に労働者の包括的同意をとっていない場合でも、就業規則に時間外労働を命じる場合の具体的事由を規定し、三六協定において時間外労働の時間数がある一定程度に限定されていれば、その規定に「合理性」があるとして、時間外労働義務が当該労働契約の内容として、労働者を拘束するとしています。
つまり、使用者は労働者の同意がなくても時間外労働を命じることができます。
休日労働も基本的には、この時間外労働と同様の考え方でよいと思います。
しかし、今日の日本の雇用社会では、労働日には長く働いても、休日は休むというのが基本的システムになりつつあります。
それを考えると、休日労働についての使用者の命令権は、業務上の必要性の程度によって厳しく制約されることになると思います。
労働力配置の変動(広範囲配転・出向・転籍)長期雇用システムは、労働力配置に関して、職種の大幅な変更を前提にしているといえます。
たとえば、Aという機械を使って要員一○人で業務を処理していたときに、技術革新によって、Bという優れた機械が開発され、五人の要員で業務が処理できることになったとします。
この場合、五人が余剰になりますが、余剰になった五人の雇用を守るためには、彼らの職務の変更が必要になります。
また、従業員は二○年、三○年という単位で企業に勤めるわけですから、時代の流れとともに消滅する業務もあれば、新しく生じる業務もあり、つねに企業内における職務の変更を進めていかなければなりません。
このように、職種の大幅な変更なくして長期一厘用システムは維持できないといわなければなりません。
人件費が固定費化するにもかかわらず、使用者が長期雇用システムの雇用慣行に同意したのは、この技術革新を容易に進めることが経営上得策だと考えたからだといえます。
仮に、前述の例で余剰になった五人との労働契約を解消するとすれば、働く場を失う労働者は、団結して合理化反対闘争を行うしか方法がないことになります。
産業革命時の機械打ち壊し運動を思い出していただければ理解できるはずです。
そこで、使用者は、できるだけ労働者の反対を受けずに技術革新を実施するため、特定業務について合理化を推進しても、その担当労働者の労働契約は解消せずに雇用は守る、しかし職務の内容は変更するという方法に同意したわけです。
つまり、労働契約には基本的に職種変更権が使用者に認められており、当該労働契約で職種の特定を合意しないかぎり、使用者には職種変更命令権があることになります。
その端的な例は、技術職の従業員を、専門的技術を必要とするサービス業務やセールスエンジニアに配置転換することができるというもので、これも裁判例の傾向といえます。
「転勤」とは、住居の変動や通勤時間の変動をともなう長期的な勤務場所の変更をいいます。
転勤についても職種変更命令権と同様に、労働契約には基本的に勤務場所の変更権が使用者に認められており、当該労働契約で勤務場所の特定を合意しないかぎり、使用者には転勤命令権があることになります。
それも特定の労働者を転勤させなければ、業務上の支障が生じるというような理由でなく、企業の活性化のための定期ローテーションでも転勤は可能といわれています。
長期雇用システム下では、職場の要員が固定化しマンネリに陥る傾向があるところから、転勤という手法でマンネリ化を防ぎ、企業を活性化させる必要があるからです。
使用者に転勤命令権が認められているため、従業員は正当な転勤命令には従わなければなりません。
裁判例をゑても、単身赴任、夫婦共稼ぎ、持家の管理などを理由とした転勤命令拒否を否定しています。
裁判で拒否の正当性が認められる可能性があるのは、高齢な両親がその住居地を離れることが難しく、また生活の面倒を承る人が必要な健康状態であることに加え、当該労働者以外にその住居の近くに兄弟などがいないため、自分が面倒をみる必要があるというような場合といえます。
このように、労働者が転勤によって不利益を負うのは、長期雇用システムによって雇用が保障されている見返りだということを忘れてはいけません。
さらに、長期一厘用システムは、転勤、そして企業グループによるグループ経営という中間労働市場の出現による出向、転籍をも労働者に対する使用者の命令権として確立していこうとしています。
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